脳科学の天才苫米地英人の|「頭のごみ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める

2018年4月24日

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める|苫米地英人
「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める|苫米地英人|脳科学の第一人者が贈る”超”集中力の本

脳科学の第一人者「苫米地英人」とは

ビジネス書や啓発書、実用書を初めて紹介するときは、著者の紹介から入るのがベターだと思います。
というのも、ビジネス書などは「どんなテーマで書かれたか?」よりも「誰が書いたか?」のほうが圧倒的に重要だからです。

大して成功していない人が書いた成功哲学。実績がない人のノウハウ本。こうした本ほど時間を無駄にするものもありません。
本を選ぶ基準は人それぞれで、本屋で人気コーナーに置かれているものや、ベストセラーになった本、好きな著名人が帯に起稿している本など、いろいろあります。
私自身は、”著者”というくくりで本を選ぶことをお勧めしています。実績があり、文章に説得力があり、自分と考えの合う著者を見つけられたら、それは一生の宝物。
あなたにもそんな著者と出会ってほしいと思います。

ということで、私にとっては一生の宝物である”苫米地英人氏”を紹介します。
本書の著者 苫米地英人氏は1959年東京生まれの認知科学者。科学者としての専門分野は機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学、計算機科学離散数理、人工知能と非常に多岐にわたり、コンピュータ科学の分野で世界最高峰のカーネギーメロン大学で、日本人として初めて計算言語学の博士号を取得した大天才。

オウム真理教事件では、信者に対する脱洗脳の国家プロジェクトにも携わっていました。

主な著書(今後GraspMindで紹介したいもの)には以下があります。

いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る!
「言葉」があなたの人生を決める
残り97%の脳の使い方~人生を思い通りにする!「脳と心」を洗う2つの方法~
洗脳原論
ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方 (PHP文庫)
君は1万円札を破れるか?

プロフィールを見ると「教授」「博士」や「代表」「CEO」「会長」といった肩書が並んでいますが、全部を紹介するととんでもない量になるので割愛。
いつか、苫米地英人氏について、もっと語る機会があればと思います。

天才脳構築プログラム|苫米地英人
とてつもなく幅広い分野で超一流である苫米地英人氏は『人工共感覚生成と右脳ウェルニッケ超覚醒特別セッション』と称してライブを行っている

今回紹介したいのは『人工共感覚生成と右脳ウェルニッケ超覚醒特別セッション』での苫米地英人氏です。
ちなみに、このプロフィールは今回紹介する本とは何の関係もなくて、ただ私自身がギタリストなので紹介したいというだけです。
(興味ない人は本題に飛ぼう!)

本題

年間2000冊以上の論文を読まないといけない海外の大学時代、クラスメイトが死に物狂いで勉強している間、持ち前の天才ぶりでギターを弾きまくっていたそう。

プロ顔負けのギターテクと世界最高峰の脳科学の知識、数多くのセミナーや著作、プログラムの中で完成した自己啓発。
それらが組み合わさり、ありえない化学反応を起こした結果が『人工共感覚生成と右脳ウェルニッケ超覚醒特別セッション』です。

ライブハウスで爆音を鳴らし、自身もギターを演奏しながら自己啓発や能力開発について語る。
主な趣旨は共感覚と右脳の活性化により「天才になるための方法」を教えるというもの。10万円を超えるセミナーのカリキュラムに「苫米地博士の激レア機材、苫米地流特別カスタマイズギターの紹介」というものがあるから驚きだ。

共感覚とは…
ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする(女性の高い声を「黄色い声」などと言うように)。
この感覚が優れている人は芸術や音楽、数学などで秀でた成績を出し、いわゆる”天才”と呼ばれることが多い。
博士曰く、先天的なものとされる共感覚も後天的に身に着けることができるそうだ。

ざっくりまとめると、苫米地英人氏はどことなく胡散臭いが、圧倒的な頭脳とそれを裏付ける実績を持つ、どこまでも魅力的な人物だ。
彼の著書が人生において役に立つか、彼の人柄が好きになるかは人それぞれだと思う。
ただ私個人としては、彼の本から多くを学んだし、たまらなく好きだ。

手に入れたはずの集中力、記憶力、発想力はどこに…?

「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚めるは2014年に発売された本だから、この手のジャンルにしてはとっくに風化してしまったかもしれない。
このタイミングで本書を紹介したのには2つの理由があります。

一つ。このメディアを立ち上げたから。
当時は本を紹介するメディアを自分で持っていなかったら、これは当然。

二つ。3年ぶりに読んで愕然としたから。
実は『「頭のゴミ」を捨てれば、脳は一瞬で目覚める』は3年ほど前に一度読んでいました。
以前読んだときに「頭のゴミ」捨てて、圧倒的な記憶力や集中力、発想力を身に着けたつもりだったが、そんなことはない。3年の間にまたゴミだらけになっていた。

やはり、凡人は一度学んだだけじゃ変われない。繰り返し継続的に学び、学んだことを意識的に実践する必要がある。

ひょっとすると、「読んだ内容を忘れて元に戻ってしまうなら読む価値がない!本当にいい本は一度読んだらずっと心に残るものだ」と考えている人もいるかもしれません。

確かにその通りかもしれない。
ただ、コピーライターとして独立し、3か月で3冊の本を出版し、自分の生活が大きく変わったのは、ちょうどこの本を読んだ後ということだけは伝えておきたいと思います。

そして、本当に大切な本は何度も読む価値があるし、何度でも読むべきということも、初めに伝えおきたいと思います。

生産性を下げる「感情のゴミ」を捨てる

”やる気スイッチ”を持っていますか?
あなたの職場にもいると思います。しょっちゅうコーヒーを入れに行く人、会議や打ち合わせの前に必ず煙草を吸う人。何かよくわからないジンクスを持っている人…

苫米地英人氏は、頭のゴミを捨てれば、やる気スイッチは必要なくなるといいます。

そもそもなぜ”やる気”が必要なのか?
それは「私たちが感情に支配されている」からです。

感情は、脳の”大脳辺縁系”にある”扁桃体”がつかさどっています。
”扁桃体”は古い脳で、より根本的(生命を維持するために必要)な感情を持ちます。

”古い脳”とは、原始的な哺乳類や爬虫類など、人類以前から存在する脳をさし、生死や生殖など、非常に重要な機能を持ちます。対して、大脳新皮質など人間の脳に特異的な部位を”新しい脳”と呼ぶことがあります。

多くの人は”扁桃体”が出す感情に支配されています。

”いやなことがあった”。だからやる気が出ない。
”嫌いな奴がいる”。だからやる気が出ない。
”プレッシャーがきつい”。だからやる気が出ない。

そうした感情に支配されているから、”やる気スイッチ”がないと何もできなくなってしまいます。

苫米地英人氏は「感情は単なる生理反応で、振り回されることは無駄でしかない」と言い切ります。
そして、感情に振り回される状態を「抽象度が低い」といいます。

抽象度とは物事に対する視点の高さ。具体的に言うなら”情報量”を表します。
例えば、「私個人」は非常に抽象度が低い状態です。私個人に対するどんな説明も、私個人を表すためにしか使えません。当然、あなた個人に対しても同じことが言えます。
逆に「人間」だとどうでしょう。これは非常に抽象度が高い状態で、私とあなたを同時に表します。

上にあげた”いやなことがあった”、”嫌いな奴がいる”、”プレッシャーがきつい”というのは、すべて自分自身に対して、つまり抽象度が低い状態で起こる感情です。

では、どうすれば抽象度を上げ、感情のゴミを捨て、やる気スイッチに頼らずに安定してハイパフォーマンスを出し続けられるのでしょうか?

苫米地英人氏が教えるアドバイスは「感情を娯楽化する」というものです。
現代の日本で暮らす私たちにとって、ほとんどの感情は必要のないものです。
というのも、感情の多くは生命維持のために存在しており、現代の日本で生命維持のために感情が必要になることはめったにないからです。

社会の中で生まれる嫉妬や後悔、怒りなどの感情は、小説を読んで感じる「楽しい」や「面白い」と同じ、娯楽です。
映画を見て、架空の悪役に怒りを覚えたり、現実には存在しないヒロインに共感して悲しんだりする。これは自分自身と映画の登場人物を、抽象度を上げて客観視しているからできることです。

そして、映画を見て怒りを覚えたからといって、それを翌日の仕事や家庭に引きずることはないと思います。それは、あくまでも娯楽として、それらの感情を味わっているからです。

これができれば、昨日いやなことがあったから今日のパフォーマンスが落ちることも、会社で失敗したから家に帰って家族にあたることもありません。

感情はあなたのパフォーマンスを低下させる最も大きなゴミです。

「他人のモノサシ」というゴミを捨てる

「自分って何?」
この質問に答えるのは簡単ではありません。
自分自身の説明をする際、名前や出身地、職場、性格などを伝えると思います。
しかし、それらはあなた自身の存在を説明するものではなく、「他人と比べて自分はこう」という情報でしかありません。

自分を定義する際に使う情報はすべて、他人の情報になります。”自分”という存在は「他者との関係にまつわる情報」の集合体なのです。

ここから導かれることは、あなたの価値観や判断基準、生き方などのすべては”他人からインプットされたものである”ということです。
それが、本章の題である「他人のモノサシ」というゴミです。

これを認識していないと、欲しいものをすべて手に入れても充実感が得られません。

車が欲しいと思ったとき、それは本当にあなたが欲しいと思ったのでしょうか。
車に乗った幸せそうな家族の話を聞いて、「車を買ったら幸せになれる」と感じたからではないでしょうか?
スーツをパリッと着た仕事ができそうな外国人が、海岸沿いを走っているCMを見て、「車を買えばこんなビジネスマンになれるかも」と感じたからではないでしょうか?

当然、車を買ったからといって、幸せな家庭が手に入るわけでも、ビジネスマンとして成功するわけでもありません。

成功の定義として「仕事をリタイヤしてハワイで過ごす」というものが流行りました。
ビジネスマンとして数億円を短い期間で稼ぎ、ハワイに別荘を買って悠々自適な生活をする。巷の成功哲学書ではよくある例です。

これに対し苫米地英人氏はこういいます。

「1年の半分をハワイで過ごす」ことが「自由」だという考えのなんと不自由なことでしょう。ハワイに行かないとその人は自由を感じることができないのですから。そもそも「ハワイ」と「自由」が結びついているのがメディアの刷り込みの結果です。ハワイと自由とは何の関係もありませんよね。

メディアの刷り込みの結果、幸せな家庭にはいい車がないといけない、優秀なビジネスマンは高級セダンに乗らなければならない、成功者はハワイに別荘を買わなければならない、となっています。

しなければならない(have to)と、したい(want to)がごっちゃになっています。

これが、第二の頭のゴミである「他人のモノサシ」です。

あなたは自分なりのモノサシで自分の価値を計ればよい。自分のモノサシで自分の仕事ぶりを評価し、自分のモノサシでワークライフバランスを計り、自分のモノサシで自分の働き方・生き方を決めていけばいいのです。

他人との比較、社会との競争、常識、周囲の目
これらすべて「頭のゴミ」と割り切って捨てることで、本当に欲しいものが見え、あなたが持つ本来の価値を発揮できるようになります。

「これまでの自分」というゴミを捨てる

「もしあの大学に合格していたら…」
「もしあの会社に入っていたら…」
「もしあの時失敗していなかったら…」

このように「あのときああしておけばよかった」と考えることに何の意味もありません。
仮想の自分や過去の自分にしがみついているだけで、捨てるべき「頭のゴミ」です。

人間の脳は非常に優秀に見えて、非常にさぼり癖があります。
”今目の前にあるもの”をありのまま捉えると情報量が多く、脳にとってはストレスです。だから、脳は過去の記憶から勝手に現実を作り出します。

これは脳のRAS(網様体賦活系)の働きによるものです。本書では、脳科学である苫米地英人氏がRASの働きについてわかりやすく説明してくれます。

あなたが重要だと感じているものや大切にしていること、信念、願望、夢や目標なども、昨日までのあなたがそう判断していたものを、今日も同じように判断しているだけなのです。

あなたが新しい本を読んで何を感じるか、セミナーに行って何を学ぶかは、今日のあなたが決めるのではなく、昨日までのあなたによって決められているのです。

あなたが今日を機に変わりたいと思うなら、「これまでの自分」をリセットする必要があります。

しかし、過去の自分を捨てることは簡単ではありません。
どうしたって過去の自分は存在していますし、脳は昨日までをもとに今日を生きるようにできてしまっているからです。

しかしそれも「過去の延長線上に未来がある」という前提で物事を見ているからだと、苫米地英人氏は言います。

アビダルマ仏教哲学では、「時間は未来から現在、過去へと向かって流れている」と教えています。

例えば、コンビニでご飯を買おうとしたらレジが混んでいたとします。あなたは「ついてないな」と感じながら別のコンビニに入ります。すると、次に入ったコンビニでは欲しかったお弁当が2割引きで売っていました。あなたは「ラッキー」と思ってそのお弁当を買って帰ります。

似たような経験はあると思います。
しかし、この短いエピソードの中には非常に多くの学びがあります。

最初、レジが混んでいることについて、あなたは「ついていない」と感じました。しかしそのあと、欲しかったものが安く買えて「ラッキー」と感じました。
過去の出来事に対する気持ちが、未来によって変えられたのです。

過去の経験が今のあなたに影響するのではなく、今、そして未来の経験が過去を意味づけるのです。

常識的に考えると、過去の自分を捨てることはできません。過去があって今があり、今があって未来があるという前提で生きているわけですから。

しかし、過去ベースの考え方を捨て、未来ベースの考え方に切り替えることで、「これまでの自分」というゴミを捨てることができます。

自分の未来は最高であると確信して生きる人は、過去の自分も今の自分も最高の自分になります。

「マイナスの自己イメージ」というゴミを捨てる

まず、世界は言語できています。
法律も規則も、上司の指示や評価も、すべて言語が並んでいるだけです。ただ言語が並んでいるだけで、私たちの生活や価値観をコントロールしているのです。

そして、言語と現実世界は必ずしも一致しません。

例えばデリバティブ(株式・債権・金利・外国為替等の原資産となる金融商品から派生して生まれた金融商品。将来、売買する権利をあらかじめ売買する取引など多種多様な取引がある)商品の一つであるるCDSの合計の想定元本は7000兆円とされています。しかし現実にはその7000兆円はどこにもないのです。デリバティブの方程式を作る時に決められた想定元本の合計が結果として7000兆円だったというだけ。7000兆円は方程式の中にしかありません。
FXだともっとわかりやすいでしょう。FXのレバレッジは2011年8月より50倍から25倍になりましたが、これは原子が1万円の場合、25万円の想定元本まで取引してよ言うということ。しかし、24万円というお金は実際にはどこにもありません。FXのルール上「あることにしてよい」というだけのこと。

苫米地英人氏は上記のような例を挙げています。確かに、お金の世界では、そのほとんどが現実世界のものではなく、言語、数字の中でのみ存在し、トレーダーや金融関係者、投資家を右往左往させています。

これまでに「感情」や「他人のモノサシ」「これまでの自分」といったゴミを紹介してきましたが、それらもすべて言語でできています。
つまり、頭のゴミはすべて言語でできているのです。

そして、あなたが最も多く言語を交わす相手は、あなた自身なのです。
人は、他人と話したりメディアから取り入れる情報の何倍も、自己対話で自分自身と会話をしています。

困ったことに、自己対話の大半はネガティブなものです。
あなたの自分自身に対するネガティブなイメージのほとんどは、あなた自身の自己対話で植え付けたものなのです。

ある研究によると、私たちは1日に100回、自分を定義する言葉を口にしたり、心の中で発したりしているといわれています。

「口下手だから」「人見知りだから」「そんなに頭良くないし」「学歴もないし」「根気があるほうじゃないし」

そうした言葉を自分自身に投げかけ、そしてその通りに行動しているのです。

厄介なことに、自己対話は失敗や公開など、ネガティブなもののほうが多く、さらに行動に反映されやすいのです。
これも人類の進化の歴史によるもので、生命を維持するためには、同じ失敗を繰り返さないことが重要だからです。だから、脳は失敗体験を強く反芻し、記憶するのです。

失敗を反芻し続けるより、成功を反芻したほうが幸せになれることは間違いありません。
ですから、「マイナスの自己イメージ」は頭のゴミなのです。

自己評価を下げる原因となる人を「ドリーム・キラー」といいます。
ドリーム・キラーには2種類いて、”他人”と”あなた自身”です。

他人に自己評価を下げられないためには「他人のモノサシ」というゴミを捨てるところで紹介したように、他人から与えられる評価を切り分けて考えることが重要です。
また、他人は過去のあなたを見て評価しているのですから、未来ベースで考えることができれば、他人に自己評価をコントロールされる心配はありません。

そして、最大のドリーム・キラーであるあなた自身に対しては、自己対話を変更する必要があります。
この項で最初に述べた「言語」と「現実」は一致しないことと、あなた自身の自己対話の大半はネガティブであることを意識すれば、自己評価を高く持つことができます。

「我慢」というゴミを捨てる

他人のモノサシによって、しなければならない(have to)としたい(want to)がごっちゃになっていることが、集中力が続かない理由、発想力や生産性が上がらない理由になっていることは伝えました。

とくに社会では、「やりたいこと」よりも「やらなければならないこと」のほうが圧倒的に多く、我慢ばかりかもしれません。

前項で自己評価について述べましたが、”我慢”も自己評価を下げる大きな要因です。
「やりたくないことをやらされている」という感覚は、あなたの自己評価を大きく傷つけているのです。

この状態では、パフォーマンスを発揮することはできません。
あなたが自分の力を発揮できていない、生産性が低い、アイデアが出ないと感じているならば、”我慢”が大きな原因になっているかもしれません。

我慢というゴミを捨てるために、苫米地英人氏はこのような思考実験を教えてくれます。

①まず、「やりたくないこと」を書き出します。数は5個から10個。それ以上書きたい人はいくつかいても構いません。中身は仮定のことでも仕事のことでもなんでも結構です。

②次に、その「やりたくないこと」リストの中で、一番やりたくないことを選びます。

③そして、その「一番やりたくないこと」をやめてみる、ということがすぐにできればよいのですが、多くの人はそこで躊躇してしまいます。ですから、まず思考実験の中で、一番やりたくないことをやめてみるのです。

例えば、付き合いたくない取引先があるとします。どうしてもそことの取引をやめたいと感じているならば、やめたらどうなるか想像してみましょう。

その取引先があなたの売り上げの25%を占めているならば、あなたの売り上げが4分の1下がります。

それは許容できませんよね。
しかし、我慢というゴミを捨てたあなたはより高いパフォーマンスを発揮できるはずです。
失った売り上げを既存や新規の取引先でカバーできないでしょうか。
もしくは、いやな取引先との付き合いに使っていた時間、労力を使って後輩育成や業務改善に貢献できないでしょうか。

やりたくないことをやらされている状態なら、あなたの自己評価は大きく傷つき、パフォーマンスが下がっています。
やりたくないことをやめるリスクはもちろんありますが、それによってあなたの実力が最大限発揮されるなら、十分リカバリーできます。

思考実験の中でやめてみると、案外やめても大丈夫なことが多いと気づくでしょう。

「自分中心」というゴミを捨てる

ここまでで、これまでの自分や他人のモノサシ、我慢など様々な頭のゴミを捨てる方法を紹介してきました。
しかし、大切なことは頭のゴミを捨て、空っぽで本来の能力を発揮できるようになったあたなに「何を選び、インプットすべきか」ということです。

そのためには明確なゴールが必要です。
自分はどうありたいのか、幸せとは何なのか、といった根源的な考えに基づくゴールです。

本項の「自己中心」というゴミを捨てることは、ゴールを見つけるために必要なステップです。

自己中心という考えのもとでは、本当のゴールは見えてきません。
なぜなら、より深い幸せとは「自分だけ」では達成し得ないものだからです。

苫米地英人氏は「自分だけの幸せ」は大脳辺縁系の偏桃体から発せられるサルやゴリラの幸せだと言い切ります。

人間の幸せには、他人への貢献感が重要なのです。発達心理学でいう「自己実現」や「自己超越」が本当の幸せなのです。

おいしいものを食べて感じる幸せは、サルやゴリラと変わりませんが、「この幸せを多くの人に味わってほしい」と感じて行動し、感じる幸せは人間の幸せです。

自分以外の人も一緒に幸せになってこそ、人間の幸せである。
人間の幸せとは、必ず自分以外の人が含まれているもの。だから「自分だけの幸せ」というものはあり得ない

つまり、人間の幸せとは「自分が何をすれば他人が喜ぶだろう?」という視点で考えて見えてくるのです。

「ハワイに別荘を買って…」というゴールは、幸せに基づいたものではなく、他人のモノサシで植え付けられたものです。

あなたにとって本当のゴールをみつけるには「何が自分にとって幸せなのか」を考えることです。
そして、幸せは自己中心を捨て、他人の幸せのために何ができるのかを考えた時に見えてきます。

「恐怖」というゴミを捨てる

恐怖の感情を克服できるかどうかでゴールを実現できるか否かが変わってきます。

「感情」のゴミを捨てるの項で、現代の日本で暮らす私たちにとって、ほとんどの感情は必要のないと述べました。感情の多くは生命維持のために存在しており、現代の日本で生命維持のために感情が必要になることはめったにないからです。

そして、その中でも特に必要ない感情が「恐怖」と「不安」です。

あなたが頭のゴミを捨て、本当のゴールを見つけたとき、今の仕事をやめる必要があるかもしれません。

ゴールのために仕事をやめる場合、「働かないと食っていけない」といって実現できない人がほとんどです。
しかし、「食っていけない」という感情こそが、捨てるべきゴミなのです。
「食うために働く」ことをやめれば、ゴールに向かって一直線、最高パフォーマンスで駆け抜けられます。

そもそも働けないと食っていけないというのは本当でしょうか?

この「食えなくなる」という恐怖は、人類の歴史を通じて刷り込まれてきたため、非常に強い感情です。人類が誕生して600万年間、ごく最近までを除いて飢餓の恐怖とともに生きてきたからです。

でも、現代の日本において飢餓の恐怖は必要ありません。
最低限の生活を保障する制度もたくさんあるわけですから、「生活できなくなる」「食えなくなる」という恐怖は意味を持たないのです。

仕事をやめて、起業して、うまくいかなかったら?
雇ってくれる会社を探せばいいのです。起業経験は貴重ですから、もとよりいい仕事に恵まれる可能性も十分にあります。
贅沢を言わなければバイトでも生活は十分にできますし、そこからまたゴールに向かって進めばいいだけです。

ゴールに向かうとき、食えなくなるや生活できなくなる不安から行動できないのなら、それは必要のない不安です。
少し考えたらそうした不安や恐怖が必要ないことがわかるでしょう。
もしもまだ不安があるのなら、生活保障や失業保険などを調べてみてください。「生活する」「食っていく」ことがいかに簡単かわかるでしょう。

そしてもう一つ。
「これまでの自分」というゴミを捨てる項で話しましたが、自分の未来は最高であると確信して生きる人は、過去の自分も今の自分も最高の自分になります。

つまり、明確なセルフイメージとゴールを持っている人にとって、”失敗”はあり得ないのです。
たとえ困難や、他人から見た失敗にあったとしても、未来ベースで考えれば、未来の成功のための出来事でしかありません。

失敗を恐れる必要もないのです。

苫米地英人氏は「怖がっている暇があったら行動せよ」と教えてくれます。
全ての感情は娯楽なのですから、娯楽に浸っている暇があったらゴールに向かって進め、ということですね。

「食うために働く」必要はなく、「食えなくなる」恐怖に意味はありません。
会社を辞めることやゴールに向かって行動することに、計画は必要ありません。失敗がありえないのですから、「考える前に行動」のほうがはるかに効率的です。
また、事前に考えてわかることよりも、行動して初めて見えてくるもののほうがはるかに多いので、その点でも計画は不要です。

そして、恐怖に限らずほとんどの感情は意味がないので、娯楽としてたまに楽しむくらいで十分。

まとめ

苫米地英人氏が、本書を総括することばを述べています。

「ゴール」と「現状の自我」という抽象度の違う次元の間に、臨場感という橋を架けることで、現状の自我が認識できる部分情報とゴールの世界(全体)との間に双方向性が働いてゲシュタルトが作られる

 

ゴールは抽象度が高く、現状の自我は抽象度が低い位置にあります。感情や他人のモノサシ、これまでの自分といったゴミを捨てることで、抽象度の違いが見えるようになります。
そして、自己イメージや我慢、恐怖といったゴミを捨てることで、本当のゴールが見えてきます。

その2つをつなぐのが、臨場感です。
このレビューの中では省きましたが、人間の体には「ホメオスタシス」という機能があります。ホメオスタシスについては苫米地英人氏の著書の中で頻繁に出てくるので、本書を読んだ際には注目してみてください。
強い臨場感を持つことでホメオスタシスが働き、現状よりもゴールにセルフイメージが近づき、「ゴールに到達した自分こそが本当の自分で、今の自分は本当の自分じゃない」という気持ちになります。
これは、行動するうえで非常に大きな推進力になります。

ゲシュタルトとは、部分と全体の関係性を表し、その関係性を認識する能力を「ゲシュタルト能力」といいます。
ゲシュタルトにより、部分にフォーカスすることも、全体を俯瞰することも自在にできるため、ゴールまでの道のりで迷う意必要がありません。
部分にフォーカスして”今やるべきこと”を認識し、行動することも、全体を俯瞰し”自分は正しい方向に進んでいるか”、”この道の先には望んでいるものがあるか”を確認できるからです。

ゲシュタルトについてより砕いて説明してみます。

例えば、あなたが鳥を見た時、初めて見た鳥であっても「鳥」であることを認識できると思います。
私があなたのもとにアフリカの密林にだけ生息している鳥を捕まえて見せても、あなたは「名前は知らないけど鳥でしょ?」となるわけです。

これはスズメやカラスなど、部分で認識していた「鳥」という概念を、高い視点から俯瞰することで、初めて見るものにたいしても共通部分や「鳥」の定義から、「これは鳥である」という答えを導きだしたのです。

これがゲシュタルトです。

いわゆる「IQが高い」という人は、このゲシュタルト能力が高いのです。
人に与えられる情報は基本的に部分にフォーカスされています。しかし、ゲシュタルト能力が高いと、抽象度を上げて俯瞰し、一つの部分をより大きな全体にあてはめて考えられるため、知識の量が圧倒的に増えるのです。

いわゆる「1教えて10できる」タイプと「10教えても1しかできない」人の差です。

アイデアマンはゲシュタルト能力が高いため、一つのものを見ても、抽象度を上げ、他のものと組み合わせます。
普通のゲシュタルト能力では、初めて見る鳥を見て鳥と認識することはできても、さらに抽象度を上げ、機械工学や宇宙物理、ビジネスにまで広げることは難しいでしょう。
しかし、それを行ったから、飛行機やドローンは生まれ、力学の研究が進みさらに多くのものが生み出せたのです。

頭のゴミを捨てることは、ゲシュタルト能力を高めるための行為です。

先入観、常識、感情、過去…
これらはすべて抽象度を下げ、ゲシュタルト能力を制限します。

頭のゴミを捨てることで、本当のゴール、幸せにたどり着けるだけでなく、高いゲシュタルト能力をもって多くのものを世界に生み出せるようになります。